4年間、黒羽刑務所にいた人のブログ

        私が刑務所で服役した4年間を振り返ります

15. 作業報奨金について②


 よく刑務所は8時間労働で残業がないと言われています。確かに一部の工場を除き8時間以上作業することはありません。もっと言えば1日8時間作業することもほとんどありません


 刑務所では受刑者一人ひとりが月に何時間何分作業をしたかについて「日課表」という表を作成することで管理しています。これをもとに作業報奨金が算出されます。


 作業に充てられている時間は確かに8時間なのですが、運動・入浴・面会などの時間も作業時間中に行うことになっており、これらの時間は作業時間から減算されます。運動は毎日実施されるので実際には8時間作業する日はまずありません。


 黒羽刑務所での日課表は以下のような感じになっています。ただし、私の記憶になんとか残っていたものをアウトプットしただけですので、間違いがある可能性があります。その点ご承知おきください・・・。


◆1日の作業時間は10分間単位で計算されます。10分未満の端数が生じた場合には、4捨5入して計算されます。


◆1ヶ月の作業時間の単位は1時間単位で計算されます。1時間未満の端数が生じた場合には、30分未満の時間は切り捨て、30分以上60分未満の時間は、1時間として計算します。



             作業報金額=52.9✕117+52.9✕117(70/100)
                            =52.9✕117(1.0+0.7)=52.9✕117✕1.7=10521.81(円)


「説明」:この人物の時給(基準額)は52.90円です。この月の作業時間は117:00なので、52.90✕117:00=6189.30円となります。これに「ヅケ」が加算されます。
 ヅケは4+3=7となっています。この「7」という数字は7割り増しを表しています。
よって、付けによる加算額は6189.30✕0.7=4332.51円となります。
 上記の2つの金額を足し合わせて 10521.81(円)が作業報奨金となるわけです。
           
作業区分・等工:どの作業をしているか(A作業、B作業、C 作業)と現在の等工です
工場名:所属している工場です
基準額:シャバで言う時給のことです。
作業時間:1日に実際に作業した時間です。◯月3日なら6時間40分の作業時間です
運動は1日40分(移動時間を含む)で作業時間にはなりません。実際の運動時間は30分 です
・この人物の場合、1ヶ月の作業時間の計は117時間00分となります
・面会や医務などで工場にいなかった時間も8時間から引かれます
入浴時間に合わせて終業時間が変わります。そのため作業時間も短くなります
・左下の部分(4+3=7)がいわゆる「ヅケ」です。足し算した数字が大きいほど金額が 加算されます
・用紙右下に併課:配食係とあります。つまり、この人物は舎房の配食係であることがわかります。舎房にて配食作業に従事した場合は、作業時間外に作業をしているので刑務作業に加えて作業報奨金がもらえます。配食係としての「日課表」は上記の日課表とは別に作成されます。


 この表は刑務官が作るわけではなく、各工場の計算係と呼ばれる受刑者が毎日一人ひとりの作業時間を手作業で計算・記入しています。パソコンなどはありませんので電卓で計算しているようです。
 この表をもとに作業報奨金の計算を行うのが計算工場です。黒羽刑務所では中央計算工場と呼んでいました。そこにはパソコンがあります。
  
 作業報奨金の金額は右下の辺りに印字されます。受刑者はそれを確認して左手の人差し指で指印を押します。その際、それ以外の部分は見えないようにされる場合が多いです。ですので受刑者は「ヅケ」がどれくらいついているかは分かりません。
 「ヅケ」見せるか見せないかは施設によって異なるようですが、黒羽刑務所では見せない職員がほとんどでした。


刑務所豆知識           【指印器】
          

                                         



  指印器はポリスメイトとも呼ばれ、警察でも使用されています。刑事施設では指印がハンコの代わりになります
 法務省管轄の刑務所や拘置所等では「左手の人差し指」を使います。警察では県警によりまちまちで右手・左手とどちらの場合もあります。



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