37. 春は職員の異動の季節
あまり、しっかりとした説明をしてきませんでしたが、各工場にはその工場担当の職員がいます。学校のようなもので刑務所も担任制なのです。大規模な工場になりますと、正担当と副担当の2名がいる場合もあります。
工場担当の職員はかなりの権力を持っていると思われます。
明らかに上司である職員に対してキツイ指導をしているのを何度か目撃しました。
つまり、工場の担当になるということは、工場を持たない看守部長を超えた力を持つと言っても過言ではありません。
また、3月は異動の時期であり、工場の担当が変わる可能性があります。これには多くの受刑者がピリピリします。
新たに工場の正担当となるからには、絶対に懲役共になめられてはいけない態度をとってくるわけです。
当然、懲役を目を見る目も大変厳しくなります。普段であれば調査・懲罰にしないような軽微な違反でも調査・懲罰にアゲてしまう場合が多いのです。
特に、工場の担当が変わったとなると、工場をコントロールする役目の雑役(用務者)が狙われます。そのことは当人たちも分かっているので、基本に戻って作業を忠実にこなします。最初の1ヶ月位が勝負です。ここで、我慢できずに新しいオヤジに対して文句でも言おうものなら、担当抗弁で懲罰となるでしょう。
とにかく、工場の正担が変わることは受刑者に相当なプレッシャー与えます。
もう一つ。職員の人事異動が行われるということは、幹部職員も当然異動となることです。
そして、他の施設の新しい幹部たちが就くことになります。
懲役には関係ないんじゃないかと思われがちですが、この新しい幹部らの一声で、受刑者の処遇が大きく変わることがあるのです。私が経験した中での例をあげますと
・集会で買えるお菓子の金額が少なくなる。
・これまで作業報奨金で購入できた本が買えなくなる。
・学習用として時計の所持を認めていた被収容者に対し、これを認めない。
・基本的に終業後に入浴だったものが、突如、午前の作業の合間に入浴となる。
・テレビを見られる時間が変更(短縮)される。
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と言った具合です。このような属人的な運用は、懲役にしてみれば、たまったものではありません。即刻やめるべきだと思います。どの刑務所でも同じ運用をすべきです。
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