4年間、黒羽刑務所にいた人のブログ

        私が刑務所で服役した4年間を振り返ります

39. 舎房の配食係になってしまった・・・


舎房配食係・・・


    突然、作業中におやじに呼び出されました。その人数が5名であったことから舎房の配食だろうなぁとは目星がついてはいましたが・・・。


    オヤジ< おめーら、5人、明後日の夕方から配食係にするから。くれぐれも怪我やトラブルのないようにやること。いいな!


はいっ!!✕4  はい?(イヤダいやだやりたくないっ!デキッコナイス)✕1 ←おれ


 原則として、就業日の昼食は工場で喫食するため、工場の配食係が全員分の食事を用意します。
 その一方、舎房配食係とは、朝食、夕食および免業日の3食を舎房にて配当する係のことです。当然ですが他の人より多く働くことになりますので、作業報奨金が増えます。また、他工場の被収容者にも食事を配ることになります。したがって、担当となるのは工場の職員から信頼されている人物が任せられるが多いようです。(工場の配食係は作業時間中の作業であるため、報奨金が増えるということはありません)。


朝:
 黒羽刑務所の朝食はとても貧しく最低限のものです。
            物相(麦ご飯)、味のしない味噌汁と乾燥わかめ、ふりかけうめびしお

                                 



 これだけです。乾燥わかめは味噌汁に入れます。ふりかけと、うめびしおがご飯のおかずになります。炊場から来たものをそのまま舎房へ次々と入れていきますこのため、朝食はぎりぎりですが温かいです。民間の業者が参入する前はコウナゴの佃煮などの副菜が出たんですがね・・・。


時間がない!!!
 平日の朝食の配食は時間との戦いです。朝の点検が終わるのが 6:48~50 頃でその後配食係のみ出房して配食の準備を始めます。できるだけ 7:15 過ぎには自分の居室に帰りたいのです。そして、7分間のうちに歯磨きと用便(大)を済ませたいのです。そうすれば 7:25の出房時刻になんとか間に合います。
 黒羽刑務所の朝の配食(食事を配ることです)の仕方ですが要約すると次のようになります。ただし、あくまでも理想です。また、とてもイメージしづらいと思いますがご容赦ください。


 6:50 出房・人員点検 ←5人しかいませんが必ずやります。
             オヤジ「左へならえ! 直れ! 番号!」「1 2 3 4 5」
             オヤジ「作業!...始めぇ!」「ヨシ!」   ※青字は懲役
 6:51 配食衣に着替え(白衣の服、白い帽子、マスク、エンボス加工の入ったポリエチ              レンの手袋を着装)
 6:53 炊場が朝食を持ってきてくれているのでそれ(台車)を隣の棟まで取りに行く。 
 6:57 戻り。それと同時に数物(かずもの)の個数の確認
 7:00 配当開始(部屋(独居房)は約80)
      朝は お茶係2名 味噌汁係2名 乾燥わかめとふりかけなどの係1名で実施。
      この割当で端の部屋からスピード重視でどんどん入れていきます。  
 7:09 配当終了
 7:10 配膳室内で朝食 いただきます
 7:11 朝食終わり いただきました
 7:11 物相(ご飯の入れ物)とゴミを回収し台車を元の場所へ戻しに行く
      同時に配食係が使った食器を洗う(1名)モップ掛け(1名)
 7:14 器具点検後配食作業終了。配食衣を脱ぎ再び点呼を取る
 7:15 自分の居室に戻る


というような感じでめちゃくちゃ忙しいのです。麦飯を2口、味噌汁1口でいただきましたです。ほとんど食べる時間がありません。夏はこれだけで汗だくになりますし、冬は手がかじかんで思うように動かせません。 


だから極力やりたくないのです。



免業日のみ
 昼も朝と同じように、炊場から来たものをそのまま舎房へ次々と入れていきます。ですので朝と同様にぎりぎり温かいです。昼ですので配るものは多くなります。その場でバッカンから掬って3品皿(さんぴんざら)に盛り付けし、舎房へ入れます。読んでいる方に伝わるかわからないのですが、かなり難しい作業です。最後の部屋まで行ったとき、残りが多すぎても少なすぎてもいけないのです。本当に気を使います
 更には、特に同じ工場の人間から俺だけ少し多めにしてくれない? だの、〇〇が最近少ないんだけどといった苦情・要望が山のように来ます。でも、おやじ(刑務官)は全員平等に配れと支持します。どちらの主張を聞くべきかなど迷うことはありません! 当然です!!!


    というわけで、同じ工場で仲の良い人生産を頑張っている人には多めに盛ります。俗に言う「ヅケ盛り」というやつです。配食担当の先生に気づかれないようなギリギリのラインを狙って盛り付けます。逆に意図的に少なくするということは一切やっていませんでした。いや、でも、多めの人がいるということは結果的には少なくなっているはずなんですがね・・・
 配食は5名でやっているのですが、この5名分も気持ち多め(8人分くらいを)盛っていました。そうでもしないと割に合いません。


 同じ工場の人間が配食係をやって、普通の盛り付けにすると、あいつには人の心がないとか言われます
 最悪、煮豆がひとつ少なかったとの理由で因縁をつけられ殴り合いになります


 懲役の飯に対する執着は本当にハンパないのでトラブルに巻き込まれやすくなります


 このようなことも必ずあるので、私としてはやりたくないのです。


夕:
 夕食は約80人分の食器を一同に並べ、その上に盛り付けをしていきます。当然時間がかかり、食事はどんどん冷えていきます。盛り付けが終わると、刑務官がひとつひとつチェックし、量に不平等がないか確かめます。これを「検量」といいます。
 検量後、ようやく各舎房へ配当を初めます。この間30分くらいでしょうか。温かいか否かそんなの問題にしていないのは明らかです。冬季は食べると体が冷えるくらいといえば分かりやすいでしょうか




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