懲役刑の重さ（長さ）は人それぞれです。黒羽刑務所はA指標の刑務所であり、初犯で執行刑期10年未満かつ反社会的組織に属していないものが収容されることになっています。ただし、外国人についてはその限りではありません。1~3年の短い刑期の人もいれば、無期懲役という人もいました。娑婆に出られるかも定かでない人はどうやってモチベーションを保つのでしょう。私なら精神が壊れると思います。実際に情緒不安定になっている無期懲役者（外国人）を見ました。話もしたことがあるのですが、本人は死刑よりも辛い刑かもしれないと語っていましたね。獄死確定なら死刑にしてくれと言っていました。彼が精神的に不安定になっていたのは、同じ工場内に無期懲役刑の受刑者がいなかったからでしょう。他工場との人間との接触は例外を除いてできませんので、同じ境遇の受刑者がいないのはかなり辛いと思います。

　さて。話を戻します。
 　まず、ほとんどの刑務所では職業訓練制度というものを設けています。これは・・・　
　職業訓練を受講する 受刑者に対し、職業に関する免許若しくは資格を取得させて、又は職業に必要な知識 や技能を習得させるために行う訓練を行い、出所後の生活の糧にしてもらいたいという意図があります。生活が安定すれば犯罪の抑止につながるわけです。

　 現在、日本全国では溶接、電気工事、自動車整備、建築、印刷、理容、美容、ホームヘルパー、情報処理をはじめとする様々な職業訓練を実施しています。

　黒羽刑務所にあった職業訓練を紹介しますと
　・建設機械科（訓練者だけが集められ、訓練を実施）
　・測量科（情報処理技術科の内容を含む）（訓練者だけが集められ、訓練を実施）
　・情報処理技術科（訓練者だけが集められ、訓練を実施）
　・調理科（炊場にて実施）
　・クリーニング科（洗濯工場にて実施）
　・園芸科（内掃工場にて実施）
　・木工科（木工工場にて実施）
　・フォークリフト訓練科
　などがあります。

　また、全国各地の矯正施設から職業訓練生の募集が定期的にかかります。ただし、他の施設に行くのは正直言ってハードルが高いです。

職業訓練のメリット

 ・職業訓練の受講が許可されると、
　　優遇区分である類の変更や制限区分である種の変更が行われる場合があります。
　もちろん、良い評価をされます。　
    つまり、所内生活において、非常に大きなメリットがあるのです。

  例を上げると、建設機械科の職業訓練が許可された場合、大抵の場合、類は最高の「1」類  となり、種も「１」種となります。建設機械科は塀の外で訓練を行うこともあるので塀の外に出すには1種にするしかないという決まりごとに沿ってそうなっていると耳にしたことがあります。（←Googleマップで黒羽刑務所を見ると教習所のような訓練場所が塀の外にあるのがわかると思います）。また1類はCDプレーヤー・CDの購入が可能となります。塀の中で音楽を嗜むことができてしまうわけです。その他、就寝時間が午後１１時となったり、時計を所持することも許可されます。加えて、集会と呼ばれるお菓子を食べる機会や面会の回数、手紙の発信の回数も増えることになり、まさに良い事づくしなのです。
   測量科についても建設機械科ほどではありませんが、かなりの優遇措置・制限緩和を受けることができます。

    また、仮釈放の審査にも有利に働き、職業訓練を受講していない人たちよりも早く出所することができる可能性があります。

職業訓練生に選ばれるには
　言うまでもありませんが、日々の受刑生活を真面目に過ごすことです。懲罰が１回でもあると審査に影響すると言われています。また、工場担当職員の推薦が必要になるので、良好な関係を築いておくことも大切です。工場担当のオヤジには受講希望の願箋を書く前に必ず相談しておきましょう。（←相談しておかないと　俺の工場が嫌なのか？　と思われてしまう場合があるからです）。

　また、精神科で処方されるような薬を飲んでいないことも条件となります。可能であれば薬をやめましょう。

　加えて、残りの刑期が訓練期間を上回っていることも必要です。よって、職業訓練を受講できる者は、ある程度長めの刑を言い渡されていることが必要になります。

もくじ①：https://20692793118279.muragon.com/entry/35.html
もくじ②：https://20692793118279.muragon.com/entry/36.html
もくじ③：https://20692793118279.muragon.com/entry/60.html