4年間、黒羽刑務所にいた人のブログ

        私が刑務所で服役した4年間を振り返ります

50. 矯正指導日

 刑務所には月に2回、矯正指導日というものがあります。施設によっては矯正処遇日と呼ぶこともあるそうです。曜日は施設ごとに異なる場合が多く、黒羽刑務所では金曜日に実施していました。


矯正指導日とは?
 単刀直入に言ってしまえば、犯した過ちの反省・更生教育・学習を行う日です。刑務作業は行われません。よって、居室からは基本的には出ることはありません。(面会や医務を除く)。
 ただし、居眠りには注意しましょう。見つかると申し送り簿(舎房での生活状況などを工場担当に報告するための書類のようなもの)に書かれて次の出役時にオヤジに頭を下げに行かなくてはなりません。1度ならいいのですが2度3度となるとオヤジも切れます。最悪の場合、調査・懲罰になる可能性があります。
 また、壁により掛かるのも禁止です。見つかると居眠りと同じようなことになります。


矯正指導日に行われること(黒羽刑務所の場合)
 ①ワークブック
    ・黒羽刑務所の場合はワークブックが配られます。テーマに沿って自己学習を行います。
       ちなみに小学館が作った教材でした。
 ②教育的テレビの視聴
    ・教育的な内容のテレビの放映があります。NHKの「歴史秘話ヒストリア」や「プロ              フェッショナル 仕事の流儀」の放送が多かったと記憶しています。テレビ放映が始まっ    たら、筆を置きテレビを見ることに集中します。
          今でも この番組は放送されていますが、「ポ~~ン」というあの音を聞くとなんとも        言えない気分になり、刑務所生活を思い出してしまいます。
   ③ 学習・読書
 ・ワークブックが終わった者は読書(小説が基本)や学習の時間となります。ただし、漫  画本や娯楽雑誌は読んではいけません。しかしながら、官本の漫画本はなぜか読んで   いいことになっていました。意味がわかりませんね。


官本:工場に備え付けられている書籍のこと。毎週、決まった日に貸与が行われる。
借りたくない人は借りる必要はない。図書室のようなイメージを持たれるかもしれないが、こじんまりとした本棚が工場の隅にあるだけである。近隣の図書館から寄贈されたものが多い。読み方は「かんぼん」または「かんぽん」。


    ④ラジオ視聴
 ・様々なラジオが流れます。犯罪被害者の声だったり、受刑者の懺悔だったり、突然方向  性を変えて童話が流れたりもします。自分の犯罪に関係する内容以外のことにはあまり  共感が持てませんでした。一番放送頻度が高かったのは犯罪被害者の声です。「過ちは   もう再び・・・」。入っていた方ならわかると思いますがいろいろな意味で辛い放送で  した。
 ⑤運動 
    ・決められた30分間、居室内で運動することが許されています。 


 このように受刑者の更生のためにわざわざ刑務作業の日を削ってまで、受刑者の更生に資する内容の指導日が設けられています。私も本当に心を入れ替え、まっとうな社会人として生きていけるように修養することを誓います。



 とはじめの頃は思っていましたが、この「矯正指導日」が存在する最大の理由は、刑務官が休みを取りやすくするためのものだとしばらくしてから気づきました。平日・休日・夜勤のある刑務官の仕事はかなりハードです。仕方がないと言えばそうだと答えざるを得ませんが・・・。


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