4年間、黒羽刑務所にいた人のブログ

        私が刑務所で服役した4年間を振り返ります

55. 刑務所の食事事情②


先ずはじめに 
 これから書く内容は、受刑者の食事を作る炊場の方々に対する苦情や文句ではありません。炊場の皆さんは、早出なら午前4時30分頃には出房して朝食の準備に取り掛かっています。就業時間も長く、本当にお疲れさまですと伝えたいと思います。


 ですが、少なくとも黒羽刑務所の食事があまり美味しくないのも事実です。私が経験した限りでは千葉刑務所の食事が一番美味しかったと記憶しています。東京拘置所やさいたま拘置支所の食事は千葉と比べればイマイチだなぁという感想です。


勿論、税金で食べさせて頂いているので文句を言う資格がないことは自覚しております。


黒羽刑務所の食事がイマイチな理由


・味が薄い。
 全国の刑務所に言えることですが、法務省は刑務所の食事に使用する塩分を減らすことを決定したようです。これが実施され始めたのが2011~2012年頃で、1日の一人あたりの塩分使用量は8g程度にしているそうです。以前は舎房内にしょう油とソースが設置されていたのですが、それも現在ではなくなってしまいました。日本人の成人の1日の塩分摂取量の平均値は、男性で約11gだそうですがそれでも多いということで8gになったそうです。全国平均のおおよそ3割減で献立を立てているので、味が薄い=美味しくない という等式が成り立っているのではないかと思います。ただし、医学的知見からすれば8gで十分なのだそうです。


・食事が冷えている。空調設備など夢のまた夢
 刑務所において食事をする場所を簡単にまとめますと、一般的には
 ・朝:居室
 ・昼:工場内の食堂(処遇上、調査中、懲罰中、入病中などの昼夜間独居の人は居室)
 ・夕:居室
となります。作業のない日は工場に行きませんので、昼食も居室になります


 特に美味しくないのが、工場で食べる昼食居室で食べる夕食です。私がいた工場は常時、90~100人程度でした。どのように食事を準備するのか箇条書きにしてみたいと思います。以下は昼食の準備の流れです。


①配食を担当する者は工場担当が指名した5名。(ちなみに配食をやりたくないと言った意見は一切通りません。そのまま調査・懲罰となります
午前11:10ごろ「配食!!!」の号令が職員からかかる。
配食係は離席許可を得た上で食堂へ向かい、配食衣に着替えて炊場から食事が到着するのを整列し、休めの姿勢で待つ。その間、当然交談(私語)は禁止。また、工場の人数分の皿などを配食しやすいように机などの上に並べる。もちろん無言で。交談の必要が生じた際は、必ず職員に許可を得てから行う
午前11:20ごろ食事を載せた台車が炊場から到着する。
配食時には必ず刑務官がつく。無論、不正な配食を防ぐためである。
この刑務官に並べた皿の数と工場人員の数が一致するか確認してもらう。
物相(麦飯の入れ物のこと)やヨーグルトなどの数が決まっているものは、数に間違いがないかすべて刑務官に 確認してもらわなければならない。
すべての確認が済んでから、ようやく盛り付けに入る。
約100人分の盛り付け完了までおおよそ20~25分かかる。
⑩刑務官に申し出て、すべての皿に入っているおかずの量が平等かチェックが行われる。
チェックが終わったら、各テーブルに食事を配る。これでようやく準備完了。


それで、言いたいのは、こんなことしてたら、せっかく温かい食事が冷めちまうよ!


ということです。ちなみに夕食もほぼ同じ形式で行われます。


 おそらく炊場で調理を終えてから受刑者の口に入るまでに1時間半位かかっているのではないでしょうか。刑務所で食べる食事には湯気が立つことなどめったにありません。真冬になれば食べるだけで体が冷えます。


 施設によって違いはあると思いますが、温かいおいしい食事が取れるとは思わないほうが良いと思います。


   一言加えるとすれば、味噌汁や各種汁物はものすごく味が薄いです。1ページ前に「すまし汁」というメニューがあると思うのですが、これただのお湯じゃないのかと疑うレベルです。


 私は、出所後最初に食べたのが松屋の牛丼だったのですが、味噌汁が濃すぎて飲めず残してしまいました。松屋さん申し訳ありませんでした。ただし、少し経てば味覚も正常に戻りますので、心配には及びませんが・・・。




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