40. ようやくあの夢を見なくなった
https://qr.paps.jp/uTKem
私は刑務所に来てから3ヶ月近く独居房にいました。私が独居房で寝ていると高確率で見る夢が「時計」の夢でした。
※独居房と言っても問題のある被収容者が入る部屋のことではないですよ。黒羽刑務所は独居房が多いことで有名で、服役者の6割以上が独居房のはずです。(2013年頃の知識です)。
私は幸いにして保釈が許可されたため、拘置所暮らしをほとんどしていません。留置場には40日ほどいたのですが、そこではそのような夢は見ませんでした。まぁそこには時計がありましたから当然です。
ところがこの黒羽刑務所に来てから毎晩のように時計の夢をみるようになりました。基本的には時計を追い求める夢です。手に入りそうだけど入らない・・・そんな夢をしょっちゅう見ました・・・。
ここで刑務所の豆知識としていっておくと、部屋の中には生活に必要なもの以外のものは本当に何もありません。
時計がありません。
鏡がありません(雑居房にはあることがあります)。ティッシュやトイレットペーパーもありません。テレビこそありますが、普段暮らしているような部屋に当たり前のようにおいてある物がこれでもかというくらいないのです。これで人間らしい暮らしと言えるでしょうか?
部屋に備え付けらている備品は
小さな机・衝立(ついたて)・私物棚・ほうき・ちりとり・ハタキ・バケツ・洗面器・雑巾・クレンザー・食器用洗剤・ゴミ箱・ポット・テレビ・所内生活の心得え くらいではないでしょうか。あとカレンダーもありましたね。矯正協会の。
自分の場合、時計のない生活をしたことがなかったので、苦しんだんだと思います。精神的にも不安定だったのかもしれません。
そのうち時計の夢は見なくなりました。時間に追われるのも人生であるし、時間に束縛されないのも人生ということなのでしょう。
なんて思っていたら、ダメ元で出した「時計使用許可願」が通りました。建前はTOEICのテストを受けるためなのですが、人間として生活していく上で時計がないのはまずいでしょう。
ちなみに、願箋はこのような内容で書きました。
このように、刑務所では日用品を除いて何かを購入するのにも願箋が必要になります。
刑務官との口約束では、言った言わないのトラブルが発生することが目に見えているので
このような形を取っているのだそうです。
しかし、半年後、市価の倍近い金を投じて入手した時計ちゃんでしたが、幹部が異動で変わったらしく、すぐに使えなくなってしまいました (/_;)。
※現実的な問題として、受刑者に時計をもたせるのは保安上の理由から難しいようです。
夜中の何時何分何秒に大騒ぎしてやろうなどと計画され、それが大規模だった場合、
暴動を鎮圧できるでしょうか? そういった万一のことを考えると、 刑務所の舎房に 時計がないことも理解できます。
もくじ①:https://20692793118279.muragon.com/entry/35.html
もくじ②:https://20692793118279.muragon.com/entry/36.html
もくじ③:https://20692793118279.muragon.com/entry/60.html
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。