9. 殴り合いの喧嘩が始まった
刑務所に入所して2ヶ月が経った頃だったと思います。運動場で他愛もない話をしていました。今日のエサなにかなぁとか、面白そうなテレビないかなぁとか・・・本当にどうでもいい話。まぁ、それ以外に話す話もないんだよなあ・・・・ はぁ~~。ちなみにエサとは飯のことです。もちろん揶揄してこのような表現を使っています。
んっ??
あれは何だろう?
すぐにほとんどの人が異常に気づきました。喧嘩が始まっていたのです。
喧嘩と言っても口論ではなく、殴り合いになりそうな感じでした。
と思っていた次の瞬間、30人くらいの刑務官がダッシュでやってきて、あっという間に制圧してしまいました。職員が非常ベルを発報していたのでしょう。聞けばそんなに珍しいことでもないらしいのです。
ちなみに喧嘩をした受刑者が連行される様子を見てはいけません。反対側や床下を向くように指示されます。
しかし一番ビックリしたのは、あんな大人数の刑務官がどこからやってきたのかということです。もちろん、このような自体に備えて、すぐに出動できる体制が整っているのでしょうが・・・。
一番早く現場についたオヤジには金一封でも出るのではないかという噂があるくらいです。
喧嘩は両成敗が基本なので、両者とも座った(懲罰になった)と思われます。
刑務所のおかしなルール
一般社会では、例えば同僚が口論を始めたとしたら周囲の人が止めに入ると思います。殴り合いなら言わずもがなです。
しかし、刑務所では原則として、口論や喧嘩をするのを止めに入ってはいけません。言い方が悪いかもしれませんが、殆どの場合、見て見ぬ振りをします。これは、止めに入った人が、喧嘩や口論に加担したとみなされかねないためです。刑務所内ではいかなる理由があろうとも喧嘩両成敗なので、喧嘩等に加担することは非常に大きなデメリットとなってしまうのです。即座に連行され、調査となる場合がほとんどです。
懲罰になると一般の受刑者から隔離されることになります。朝から夕方までず~~~~~~~~~と座っていなくてはなりません。これが思いの外キツイ。
これは閉居罰と言って最短で5日間、最長は60日間です。真冬に座ることになったら悲惨この上ないでしょう。暖房なんてありませんから。真冬の室内の気温は昼間でも7~10℃くらいです。雪が降れば更に下がります。
加えて、喧嘩して懲罰になった2名は、それぞれ別の工場に飛ばされることになります。つまり一からやり直しです また、ふたりが2度と同じ工場にならないように出所時まで配慮されます。
誤解のないように言っておくと、懲罰になっても元いた工場に戻ってくる場合もあります。眉毛を抜いたとか、就寝時間後に本を読んでいたなどの、比較的軽い違反の場合かつ相手がいない場合です。また、その種の違反が初めてであることも条件でしょう。
結局は工場担当の職員が引き受けるか否かなのですが、内容が軽微でひとりで反則行為をした場合は、戻ってくることが多いと思います。
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