6. ついに工場配役(こうじょうはいえき)
工場配役(こうじょうはいえき)
教育訓練工場をなんとか卒業し、ついに一般工場に配役されることになりました。
本音を言えば、図書工場や計算工場に行きたかったわけなのですが、まあ、私は精神安定剤を服用していたので経理工場へ行けなかったのは仕方ないと思います。経理工場については後述します。
※注意:知っておいてほしいこと
刑務所では精神科(心療内科)で処方される薬(統合失調症治療薬、抗うつ薬、精神安定剤など)を服用していると様々な不利益を被ります。(ただし、睡眠導入剤についてはあまりうるさく言われない傾向があると感じました。勿論、服用していないのが一番ですが)。
そして、どのような不利益があるかというとこのような感じです。
・機械を使うような仕事をさせてもらえません。
・機械が使えなければ、立ち役である【運搬係】や【班長】になることもできません。
・座ってできる単純な作業をずっと続けることになります。
・作業報奨金が一定額(3等工)で頭打ちになります。
・後から入ってきた後輩がどんどん出世していき惨めな思いをします。
・先述したような経理工場に行くのもまず無理です。
・各工場において、雑役(立ち役)と呼ばれる【用務者】にもなれません。
・職業訓練の受講を希望しても基本的に許可されません。
・身元引受人がいない人の場合、「更生保護施設」(通称:保護会)という所がその代わりをしてくれるのですが、これらの薬の飲んでいると断られる可能性が高くなります。つまり仮釈放が認められなくなり満期出所となってしまいます。
そして、工場担当の職員もできるだけやめろと圧力をかけてきます!
経理工場とは刑務所の運営に携わる作業をする工場のことです。
黒羽刑務所では、炊場、図書工場、中央計算工場、洗濯工場、営繕工場、内掃工場、寮舎保清工場、看護工場、処遇棟保清工場などの経理工場がありました。
一般工場と比べると優遇区分である「類」が上がりやすいほか、制限区分については一般工場の人間はほとんどが3種であるのに対して、明らかに2種の被収容者が多いです。ですからこのことを知っている人は当然経理工場に行きたいと思うでしょう。
ですので、刑務所に入る際には、睡眠導入剤、精神安定剤、抗うつ剤 などの薬は可能であればやめたほうが良いです。もちろん娑婆にいるときから処方されていて、薬が必要な人もいるわけですから、そのような方は無理してやめるようなことはしないほうがよいと思います。離脱症状が発現する場合がありますので。
ご自身の刑期と相談して決めることをお勧めします。
また、これを逆手にとらえて、作業の簡単な工場へ行こうとする者も見られます。そういった工場は若い受刑者が少ないため、人間関係が比較的緩いことが多いのです。それでも一定数は曲者がいますがね。
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話は変わりまして、配役された工場には幸いにも教訓で一緒だった人がいました。あまり話したことはなかったのですが、これは心強い! 行き先は第◯工場でした。(身バレが怖いので伏せさせてください)。
まずは正担の河田先生に2人で挨拶に行きました。(職員の名前はすべて仮名です)
キツめのことを言われることも覚悟していたのですが、そんなことはありませんでした。
黒羽刑務所は日本人だけでなく、外国人受刑者も大勢います。検身場の説明をしてくれたのが外国人だったのですが、何言っているのかよくわからないし、かなり高圧的でした。文句の一つでも言ってやろうと思ったのですが、懲役では先に入った人が絶対であるので我慢しました。
その後、計算係から日用品や雑誌、単行本の買い方、医務回診の受け方、その他諸々を教えてもらいました。
最後に衛生係が洗濯物の出し方の説明や食堂の席を教えてくれました。
これらの説明を受けた後、ようやく刑務作業に入ることになリます。
と言ってもこの工場が作るのは100円ショップで売っているような紙製のファイルでした。
1 紙を折る
2 留め具をつける
3 検査係がチェック
4 合格したものを出荷
という感じで、えええっ、刑務作業ってこんな単純作業なのかと驚きました。
逆に考えれば、これくらいの仕事しかないということなのでしょう。
今、全国には8万人以上の懲役がいるのになんと勿体ない使い方だと思ったものです。
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