4年間、黒羽刑務所にいた人のブログ

        私が刑務所で服役した4年間を振り返ります

42. 刑務所の食事を試食したことはありますか?

 全国に刑務所がいくつあるか把握していませんが、ほとんどの刑務所では年に一回「矯正展」というイベントを開いています。これは、刑務作業の重要性・実態などについて、国民に広く知ってもらうためのものです。それぞれの刑務所などで行われている刑務作業についての広報を行ったり、実際に被収容者が刑務作業で製作した「刑務所作業製品」通称(CAPIC製品)を販売したりしています。


 その他、様々なイベントを通して地域の皆さんと交流を図り、矯正教育に対する理解を深めるといった目的もあるでしょう。


 元服役者の私がこんなことを言うのもなんですが、家の近くに刑務所があるのはあまり良い気持ちがしないと思います。


 矯正展では色々なイベントが開かれています。施設の中を見学したりすることも可能です。ちなみに見学対象になってしまった工場では、前日にこれでもかというほど大掃除をしています。まぁ、お客様が来るのですから、それは当然のことでそれについてはなんの文句もないんですが・・・。


 というわけで、何に対して文句があると言えば、「矯正展の日」や「テレビの取材が入る日」などはなぜか人気の美味しいメニューが出る傾向があるということです。刑務所では人気メニュー・不人気メニューを定期的にアンケートとして集計していますのでどれが美味しいメニューかということも刑務所側はわかっています


            矯正展で提供された人気メニューのポークカレー

                                  


 そして社会の皆さんは、暖かくて美味しい人気メニューがいかにも刑務所の標準的なメニューなのだと思うことでしょう。もちろん、それは大きな勘違いであります。


 実際の食事は、とても薄味で、冷えていて、量も少なくて、改善の余地が大いにあると思います。


 税金でタダ飯食っておきながら、贅沢を言うなというご意見もあるかとは思います。しかし、少なくとも懲役刑の受刑者は毎日働いておりそれによって得られた利益は国庫に納められています作業に対する対価は時給にして数円~数十円であり、雀の涙ほどしかありませんその点を考慮すれば「飯を税金で食っている」という実情は否定できないものの、実態としては労働の対価として食事を支給されていると考えても良いのではないでしょうか。もちろん、すべての食費、延いては刑務所の維持管理費を賄えていると言うつもりは毛頭ありません。


 私は罪を犯した罪人です。決して、日々食事に困っている人を差し置いて、人並みの食事にしろと言いたいわけでもありません。ですが、あんまりな食事が相当数あることも事実であることを知ってもらいたいのです。


 以上の事柄を、ほんの少しでも構わないので理解していただければ幸いです。



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