4年間、黒羽刑務所にいた人のブログ

        私が刑務所で服役した4年間を振り返ります

30. 刑務所で怪我をしたらどうなる?


 同じような議題が続いていますが、刑務所で病気ではなくケガをしたらどうなるのでしょう。私が見た実体験をお話します。


 例えば刑務作業中にハンマーで手を打ってしまったとか、ハサミを使っている最中に自分の手まで切ってしまった場合です。ケガをしたのだから手厚い処置が施されればいいのですが、ここは刑務所、そうは問屋が降ろしません


ハンマーやハサミは時として武器になりますが、日本の刑務所ではそれを悪いことに使おうと考えるものはまずいません。そもそも不味そうな人間には扱わせませんし、誰がどんな工具を使っているか工場担当の職員も把握しています。そういったものを使う受刑者は職員から信頼されており、99.9%問題は起こさないでしょう。


 もし、私が怪我をした当事者だったら、まずはなんとか隠し通せないかと色々考えると思います。 
  なぜかというと刑務作業中の怪我は作業安全衛生違反」または「自傷行為等」という遵守事項違反の疑いをかけられてしまうからです。


※5. がんじがらめの遵守事項(34)を参照ください。


 つまり刑務所で刑務作業をしていた際にケガをすると調査・懲罰になる可能性があります


 要するに、安全管理上定められたことや作業上指導されたことをしっかり守らなかったからけがをした。と見なされてしまうわけです。


 実際にかなりの血が出ているのに終業までになんとか止め、検身場をパスしたツワモノもいました。幸いにもその日は金曜日だったため、なんとかなったようです。


  
 一方、運悪く見つかってしまった人もいました。工場担当が電話一本で医務の人間を呼び、手当てをしてもらったそうです。それだけなら万々歳なのでしょうが、彼はその後、処遇部門に連行され色々お説教を受けたようです。彼の場合、調査にはなったのですが、身柄は拘束されませんでした。不拘束調査というやつです。娑婆でもありますよね。「逮捕しないで在宅起訴」。それと同じような感じです。
 結局、彼は優遇区分が下がりました。座ってはいないので「戒告」あたりになったのかもしれません。


 皆さんにお伝えしたいのは、刑務所では作業中の怪我も調査・懲罰になる可能性があるということです。刑務所に来て怪我でもしたらよい治療をしてもらおうなどとは間違っても思わないでください



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