4年間、黒羽刑務所にいた人のブログ

        私が刑務所で服役した4年間を振り返ります

18. 刑務所の歯医者さん

一般刑務所における歯科治療の実態を結論から言いましょう。


                     刑務所での歯科治療=抜歯です!

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歯が痛い!


 黒羽に来てから数カ月。なんと歯が痛くなってしまいました


 次第にズキズキが我慢できなくなってきて生活に支障が出るようになってしまいました。
痛くて行進するたびに激痛が走ります。どうしよう・・・。
 もともと、歯医者が苦手な私でしたが、流石に歯科治療申込みの願箋を書くことにしました。


(自分)「〇〇先生、歯が痛いので歯科治療を希望したいのですが・・・」。
(刑務官)「あぁ? とりあえず医務回診で痛み止めをもらって飲んどけ。歯科治療は順番待ちだかんな。あと、歯科治療願いの願箋書いとけ」。とのことでした。


 歯科治療をお願いする際の願箋の書き方はこんな感じです。         
                        

                   

    
  


 このように、刑務所でも歯科治療が受けられる訳です。とりあえず一安心。
 医師の診察も受けさせていただき、ロキソニンのジェネリックを処方されました。


 しかし、1カ月、2カ月と待っても一向に順番が回ってきません
 ロキソニンは飲んでいますが、痛みが少し弱くなったかなぁ程度でやはり痛い・・・。


 結局、私に順番が回ってきたのは、願箋提出から5ヶ月後のことでした。はっきり言ってもう痛くないです。
 どうする?抜きますかと言われましたが、丁重にお断りしました。


 刑務所の医療はすべてが無料で、一般社会と同等の治療を行ってくれるという言葉をよく聞きますが、私の体感では、最低限を大きく下回る医療程度が備わっているかどうかも怪しいものです。聞いた話では抜歯の場合、麻酔をしないこともあるようです


追記)上記に歯科治療はすべて無料と書きましたが、希望すればそれ以上の治療をしてくれる場合もあるようです。しかしながら、法外とも思える金額を請求されることがあるとのこと。お金が余って仕方ない人くらいしか受けないという噂さえありました。


 結局、殆どの刑務所における歯科治療は「抜歯」か「痛み止めを飲んで我慢」のどちらかだけです


 これは全国ほとんどの刑務所でも共通ではないでしょうか。一体どこに最低限の医療があるのでしょうか?


なお、出所後、歯医者に行ったのですが、予想通り抜歯するしかないねと言われまた


 なぜ、このような状態が当たり前のようにまかり通っているのでしょうか。「受刑者だからいいだろ」という考えをお持ちの方が相当数いらっしゃるのは容易に想像できます。そしてその考え方に反対するわけではありません。


 しかし、私たちも人間です。更生して社会の一員となり、この先職に就かなくてはならないのです。例えば、歯が何本も抜けている人を会社は雇おうとするでしょうか? この扱いはあんまりではないかと思いました。


※後に耳にした補足
 刑務所の歯科治療は常に数ヶ月の順番待ちです。ですので、1回で治療を終わらせようとしています。一般の歯医者のように、「では1週間後にまた来てください」という社会では当たり前だと思っていた常識は刑務所では通用しません。結果、抜歯以外の選択肢がなくなってしまうようです。半分納得したような気にもなりましたが、この状態を改善する気はサラサラないようです。


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